最近の【全合成・反応機構】 "Total Syntheses of Rhodomolleins XX and XXII" (2)

Total synthesis of Rhodomolleins の続き(2)

 

Hanfeng Dingらのグループ

 

Yu, K.; Yang, Z.-N.; Liu, C.-H.; Wu, S.-Q.; Hong, X.; Zhao, X.-L; Ding, H. Angew. Chem. Int. Ed. 201958, 8556.

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/anie.201903349

3工程目:ただのジアゾ化

トリエチルアミンで15のカルボニルα位が脱プロトン化され、17となります。これがトシルアジドと反応し18プロトン移動で19、トシルアミドの脱離で20となります。

 

4工程目:銅カルベノイド生成とシクロプロパン化

20と共鳴構造にある21が銅触媒と反応し、22が生じます。窒素の脱離を伴い、銅カルベノイド23を与えます。

 

続いて、23の矢印に示したようにシクロプロパン化が進行します。その時の遷移状態として、TS-24aTS-24bの二つが考えられます。

TS-24aは、舟形遷移状態をとり25aを与えるパス。

TS-24bは、イス型遷移状態をとり25bを与えるパス。

TS-24aは図に示したような立体障害が存在するため、TS-24bの方が有利な配座だと考えられます。

よって、生成物として25bすなわち16が得られたと考えました。

 

ちなみに、考えうる他の2つの立体異性体26cおよび26dは、シクロプロパン環の剛直さゆえに、とることが出来ない立体配置です。

 

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Scheme 1. Steps 3 and 4.